先日(5月20日)、県内外から151名の歯科関係者が参加して、岩手医科大学歯学部同窓会の第42回学術研修会が盛岡市の岩手県歯科医師会館で開催されました。
当院からも院長とスタッフ6名が受講しました。
講師は長崎大学歯学部口腔保健学分野の飯島洋一先生、岩手医科大学の障がい者歯科の久慈慶昭先生、同じく岩手医科大学の保存修復学分野の野田守先生。
飯島先生の講演テーマは「再石灰化理論に基づく初期齲蝕治療のすすめ」。
飯島先生は、初期むし歯(白斑・ホワイトスポット)の再石灰化研究の国内第一人者です。
矯正歯科では、お口の中に何らかの矯正装置を着けて(入れて)治療することが多いものですから、どうしても歯にプラーク(歯垢)が残りやすく、むし歯の発生率が高まります。そこで、むし歯の発生を予防することも矯正歯科治療を成功させる重要なポイントのひとつになります。
飯島先生のご講演要旨;
むし歯はその初期に再石灰化(酸などによってエナメル質表面から溶け出したミネラルやイオンが再び歯に戻って修復する作用のこと)させることができれば予防可能な疾患です。
再石灰化には重炭酸塩イオンと3つのミネラル成分(カルシウム・リン・フッ素)を供給することが大切です。
さらに、歯のミネラルやイオンが唾液中に溶け出すことを減らし、再石灰化を促進させるためには、お口の中を常に低濃度のフッ化物イオンで満たしておくことが必要です。それにより、唾液中のカルシウムとリンが初期むし歯部位に浸透し修復されますが、修復部位は以前よりも耐酸性が向上して、酸によっても脱灰しにくい再石灰化ミネラルによって歯は保護されるようになります。
お口の中を常に低濃度のフッ化物イオンで満たしておくには、少し工夫が必要です。
1)1日2回フッ化物配合の歯磨きペーストで歯磨きすること。
2)歯磨きペーストを歯全体に広げて2分間以上歯磨きすること。
3)歯磨き後の洗口はできるだけ少ない水(10cc程度:これが重要!)で行うこと(この習慣だけで24%むし歯が減少したというデータがある)。
4)歯磨き後2時間以上飲食を控えること。
また、フッ素を供給するチューインガム(“キシリッシュ+F” や、“リカルデント”など)を1日3回、20分程度噛むことも、お口の中を低濃度のフッ化物イオンで満たすために、お手軽ではあるが効果的な方法であることも示されました。
当院でもこれらの最新のう蝕学(Cariology)の知識を活用して「生涯う蝕“ゼロ”」を目指します。