山伏茸♪
先日、一年ぶりに友人2人と小学6年生のご子息の4人でキノコ採りに行った。場所は達曽部沢という所(だったらしい)。ベテランたちは歩くのが速い。私はというと、30分くらいは、大自然はいいものだ、山の空気はうまい、木漏れ日が綺麗、などと思い、周りを見るゆとりもあった。しかし! その後は足元だけを見つめ、彼らに遅れぬように必死についてゆくだけ。さらに坂が急になり、息があがる、太モモが上がらない、足首が上がらない、だからツルに足を取られる、膝が痛い・・、さらに歩みが遅れる、の悪循環。キノコを探すゆとりは全くない。皆はそんな私を優しく待っていてくれる。そして、ここにボリがあるよ、ムキダケがあるよ、カヌカがあるよ・・と教えてくれる。ところが、そこまで辿り着くのが難行苦行。だからこそ、自分の手でキノコを採れた時の喜びはひとしおで、脳内モルヒネがリリースされる。そうか私にとってキノコ採りは修行か。そうなると、私を導いてくれている3人は菩薩の化身か・・・ そんなことを考えている中、珍しいキノコがあるよとDさん。写真のような、真っ白でかさがなくハリネズミのような外観のキノコ。ブナの幹に白いアクセサリーのように生えていた。地元では「ウサギ」、地域によっては「ハリセンボン」と呼ぶらしい。正式名は「山伏茸(ヤマブシタケ)」。その形が、山伏の結袈裟についた丸い飾りに似にていることから命名されたという。ネットで調べてみると、昔も今も発見するのが難しい幻のキノコで、著名な明治時代の博物学者、南方熊楠(みなかた・くまぐす)も「紀州の山中で40日間さんざ探した結果、ようやくヤマブシタケを見つけた」と苦労話を書いているほど。中国名は、猴(テナガザル)の頭に似ているので「猴頭(ほうとう)」といい、乾かして漢方薬にもなる。食しても美味で「フカヒレ、ナマコ、熊の手」と並んで四大山海の珍味の一つとして珍重される高級食材でもあるらしい。自宅に戻り、半日水に浸けてから、シンプルに少し塩を入れて湯がいて食してみた。「素麺のような腰のある歯触りと、鼻にす〜っと抜ける松茸香とそれに加えて何とも言われぬ上品なエステル香がするではないか」成る程!納得した!筆舌に尽くしがたい☆☆☆の味である。静岡大学農学部の研究では、免疫力を高めるβ-Dグルカンがアガリスクの3倍も含まれており、腫瘍やウイルス疾患にも効果があるという。美味で薬効のあるこのキノコ、ネットで100グラム2000円で販売していた。とすれば私が頂戴したのは数万円分の「山伏茸」!? 有難い高価なキノコを食したせいか、薬効のせいか、はたまた修行のせいか、この数日妙に体が軽い。どうやら私には山の神の御利益があったらしい (^_^)。