過日(2009年6月29日)当院のブログに徳仙丈山の「山ツツジ」の写真を提供下さった横澤昭平先生が、2010年の日本歯科新聞のフォトコンテスト最優秀賞を受賞されました。新春早々、素晴らしいニュースにて、心からお祝い申し上げます。
受賞したお写真のブログへの掲載をお願いしました所、快くお認め下さり、お写真の添付のみならず撮影の状況やいきさつまで教えて下さいました。
受賞作品を多くの方に見ていただき喜びを分かち合いたく、審査員長の評とともに掲載させていただきました。
【審査員長の評】昨年優秀賞を受賞した人だが、相変わらず群を抜いてうまい。奥行きの使い方が非常に上手。私は鳥を専門に撮っているので分かるが、日の出とともに一斉に飛び立つガンを撮るためには夜中のうちにいい場所に構えるなどの努力がいる。ガンを写すならばこれ以上はないというくらいうまい。赤色も去年より深く、文句の付けどころがない。
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写真の撮影日は、平成6年11月17日(木)。
前日から快晴でしたが、夜のNHKの天気予報を見て、翌日が休みでもあったので伊豆沼に行く事を決めました(2年程前から5〜6回通っていました)。
当日、午前2時過ぎに起床、盛岡インターから高速に乗り、若柳金成インターで降りて、現地には5時10分到着。この日は満月で、日の出予想時刻が6時01分。平日のためにカメラマンが比較的少なく(多い時は80人くらいスタンバイしている)場所取りにさほど苦労しませんでした。
気温はマイナス4.8度、カメラ3台をスタンバイ。6時26分頃、日の出が始まりました。
想像していたとおりの状景に、鳥肌が立ちました。
何回かこの場に立ちましたが、良いチャンスに恵まれるのは本当に希です。人が多かったり曇ったり、ことさらマガンの群れが日の出前に一斉に「ねぐら発ち」をしてしまうからで、日の出とタイミングが合わないからです。
ものの8分位のドラマを、無我夢中でフレムングしピント合わせをして撮らえたものです。
300ミリの望遠レンズだけでは写真のような大きい太陽が撮れませんので、×2倍のアダプターを付けて太陽を大きく撮り、その光の中にガンを入れて撮るテクニック、これはオオタカ、オジロワシなど鳥類を主に撮り、伊豆沼のこの場所にも案内してくれた友達の写真で知っていましたが、自ら行うのは初めてでした。普段、風景撮影が主体で超望遠レンズもなく、鳥類を専門に撮っているわけでもないので、今回の様な映像を撮れたのは、意識しても難しいことで、単に偶然に撮れたものかも知れません。
約30コマ位撮りましたが、ご希望であればいつかお見せします。
当時、この写真を写真仲間に見せたら、その人の場合は8年位通ってやっと同じ様な写真が撮れたそうで、本当にラッキーだと言われました。
なるほど,それ以後こういう状景にはなりませんし、ガンもこの写真のように伊豆沼の中程に集合しなくなり、分散したりしていて、この光景を超すような写真を二度と撮ることは出来ませんでした。それでもその後、運よく素晴らしい別の光景に二度程出会い、身を震わせましたが、次第に期待する光景に触れることが少なくなり、遂には約4年間にわたる伊豆沼通いと決別いたしました(横澤歯科医院(盛岡市):横澤昭平先生)。
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単に偶然に・・と写真歴50年の先生は謙遜して言っておられますが、この写真には一朝一夕では到達出来ない、感性も技術も忍耐もラッキーも全てを備えた者だけが撮影できる深みと和みと凄みが凝縮されていると思いました。敬意を表します。おめでとうございました(H.N.)