「むし歯予防は妊娠期から」その2
2012/8/12のブログで、「マイナス1歳からはじめるむし歯予防」の本を紹介しました。著者(仲井雪絵先生)は、生まれたばかりの赤ちゃんにはむし歯菌がいない。ほとんどが母(父)子感染。だから子どものむし歯予防は妊娠期から始める。まずは母(父)親のむし歯治療。そして定期的にキシリトールガムをかむのが効果的。キシリトールガムを摂取して、むし歯菌を善玉菌へ置き換えることが大切。と述べておられます。
ここでちょっと専門的になりますがその理由を掘り下げてみましょう。
まずはキシリトールで、むし歯菌(ミュータンス菌)を善玉菌に換えるとはどういうことなのでしょうか。
ミュータンス菌の中には、キシリトールをその菌体内に取り込む感受性菌と、取り込まない非感受性菌の2種類があり、その比率は約9:1だといわれています。感受性菌は、他の糖類と同様にキシリトールを菌体内に取り込みますが、キシリトール代謝する酵素を持っていませんから他の糖代謝経路が阻害され、ミュータンス菌自体が栄養不足状態となり死滅します。その結果、感受性菌の数は減少してゆきます。一方、非感受性菌は、キシリトールを菌体内に取り込むことはできませんから、死滅することはありません。ただし、感受性菌に比べますと虫歯の原因となる酸と粘着性の高いグルカン(歯の表面にくっつくネバネバ成分)の産生能力が低い菌ですから、むし歯を発生させる率は低くなります。
というわけで、定期的にキシリトールガムを噛むこと(仲井先生は1日5〜10グラムの量(4〜8粒)を3回以上に分けて噛むことを勧めています)によって、むし歯菌をゼロにはできませんが、弱々しい、さらさらのむし歯菌だけが残ることになり、結果的にむし歯の発生は抑えられます。
定期的にキシリトールガムを噛む習慣は、むし歯になりやすくなる矯正治療中の方にもお勧めしたい習慣です。その他にもキシリトールには歯を内側から修復する作用もあり、フッ化物と一緒に使うとさらに効果的です。
むし歯はもう増やさない。そして、生涯「むし歯ゼロ」を目指しましょう!
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