「ゴムメタル」という合金をご存じですか。
トヨタの豊田中央研究所で開発された、柔らかく、しなやかでありながら腰が強く、金属でありながらゴムのような性質を持ち、高い生体安全性も証明されている人に優しいチタン合金です。
この純日本発の不思議な合金、神奈川歯科大学の長谷川信先生が見そめて、矯正治療に打ってつけであるとして、大阪の企業や矯正材料メーカーと共に矯正治療に特化したワイヤーとして製品化しました。
昨年秋に盛岡市で開催された第71回日本矯正歯科学会大会では外国からの参加者からも注目を浴びておりました。
先日東京で、長谷川先生の「新素材で変わる治療コンセプト GUMMETALワイヤーの使い方」セミナー(2日間コース)があり、受講して参りました。
文明の発達、咬耗の減少、顎骨の縮小とともに智歯が生えるスペースが不足してきており、現代人では智歯は不要であり、むしろ不正咬合惹起の原因になっているといいます。
長谷川法の基本は可及的に小臼歯抜歯を行わずに智歯を抜歯したスペースや、しなやかなゴムメタルワイヤーを使用して歯を直立させ得られたスペースを利用して不正咬合を治療するというもの。
自ら上と下の歯にゴムを24時間掛ける努力は必要なものの、しなやかな角ばったゴムメタルワイヤーを治療の早い段階から全ての歯の装置(ブラケット)にはめることができることから、全ての歯が一塊(En-bloc)として動き、治療期間が大幅に短縮されます。
近い将来、この純日本発のゴムメタルワイヤーが世界の矯正治療を変えるかも知れませんね。