八重歯がかわいい?
都会の河岸に時折登場するアザラシが、なぜこれほどまでに愛されるかについて、あるTV番組で、アザラシが幼児顔に近く、見るものに「可愛いらしい、守りたい」という保護本能が働くからだと解説されていました。
さて、西欧世界ではドラキュラの歯として忌み嫌われる八重歯ですが、確かに日本には「八重歯が可愛い」とした時代がありました。このことについては横浜の矯正歯科医、大野肅英先生が1988年の論文「八重歯の考現学」において日本の歴史や文化などから考察されています。その中で「八重歯が可愛い」には、「若さが関係している」、「日本文化の幼児性が潜んでいる」さらに、八重歯には「未完成の美としての魅力があるのだろう」と述べられています。
とは言え、歯科医学的に犬歯には咀嚼(そしゃく)時のガイドとして働く重要な役割があり、八重歯の状態ではその役割が果たせず、また、歯磨きもしにくいことからむし歯や歯周病が懸念され、さらに転んだ時などに怪我(けが)をしやすいなどの理由から治療することをお勧めしているのです。
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