コンプライアンスからアドヒアランスへ
当院では、院長の岩手医科大学在職中からの繋がりで、呼吸器内科や耳鼻科からの依頼により睡眠時無呼吸症候群の方の症状改善のためのマウスピースも作製しています。
このマウスピース、使用して実際に呼吸機能が改善しているかどうか医科サイドでの検証が必要で、依頼先の医院あるいは機関から随時報告がありますが、最近の報告書には、以前使用されていたコンプライアンスという用語に代わり、アドヒアランスという用語が用いられるようになってきています。
文中では、装置の使用や服薬に対して、アドヒアランスが良いとか悪いとかというふうに用いられます。
なぜ用語が変わってきたのか理由を調べてみますと、コンプライアンスという言葉は、英語を母国語とする人たちから「服従」や「強要」というニュアンスが含まれており、医療用語としてふさわしくないという意見が聞かれるようになったからだそうです。
このためコンプライアンスに代わる新しい用語としてアドヒアランス、すなわち「計画・決意・規則」を固守することを含意する用語が使われるようになってきました。2001年にはWHO(世界保健機関)にて専門者会議が開催され、「今後はコンプライアンス(compliance)でなく、アドヒアランス(adherence)の理念を推進する」との決議もなされました。
アドヒアランスという用語は、患者さんに使用理由を十分に説明し、了解を得て患者さん自らの意思で積極的に治療・服薬に参加することが重要であるとの考えから用いられてきたものであり、すでに欧米ではコンプライアンスに代わる用語として定着しているそうです・・・当院のK先生は既にこの考えを忠実に実行していますね(^_^)。
先日参加した学会で、ドイツ系の先生が「Non-Compliance Gerate(= appliance)」=ノンコンプライアンス・アプライアンス(=装置)は効率よく矯正治療が進められるという主旨の発表をしておりました。日本でもそうですが、欧米でも歯科矯正学分野ではまだコンプライアンスという用語が使われているようです。
矯正治療で言う、ノン・コンプライアンス装置とは、矯正用のゴムとかヘッドギヤーなどの、患者さんがドクターの指示に従って使用しなければ治療が進まない装置に代わり、歯などに固定されていて自らはずすことができず、不服従、非協力でも効果を発揮する装置の総称です。
この装置、WHOで決議されたことでもありますし、そろそろ「Non-adherence appliance」と言い代えるべきなのかも知れませんね。




トラックバック URI : http://www.nakano-123.com/blog/wp-trackback.php?p=386